景品表示法務検定の問題はどのような形式で出題されるのか、
出題範囲や配点はどのようになっているか、
受験のためにどのような勉強をすればよいか、といった問い合わせが寄せられています。
そこで、これらについて、とりまとめました。
出題範囲と配点
景品表示法務検定の問題は、4択の問題が50問です。各2点で100点満点となっています。
分野別内訳 | 配点 |
1 総説 | 4点 |
2 不当な表示 | 38点 |
3 過大な景品類提供 | 18点 |
4 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置 | 14点 |
5 公正競争規約 | 10点 |
6 不当表示等に対する措置と手続 | 16点 |
合計 | 100点 |
出題の形式
文章の"適否"を問う2択の問題2問が1セットになった4択問題です。
問題
以下のアとイの文章の内容の適否について、選択肢1~4の中から最も適切なものを一つ選びなさい。
ア ・・・・・・・・・・・・・・・・
イ ・・・・・・・・・・・・・・・・
選択肢
参考問題
令和6年度景品表示法セミナーのテキストに掲載した参考問題(2択問題の参考例)です。
景品表示法務検定監修者の
菅久修一様(ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)シニアコンサルタント、元公正取引委員会事務総長、元消費者庁審議官)
に執筆していただきました。
■参考問題(総論)
【問題】景品表示法では、不当な表示と過大な景品類の提供を禁止しているが、
これにより不当な表示と過大な景品類の提供というアンフェアな販売促進手段が排除され、
良質廉価な商品を製造、販売している事業者の売上げや収益が向上し、
業界全体の健全な発展にもつながっていく。
●ワンポイント解説
【正解】適切
【解説】景品表示法が不当な表示と過大な景品類の提供を禁止していることで実現されるのは、消費者の利益だけではない。
消費者が自主的かつ合理的に商品選択をすることで安くて良い商品を購入することになれば、
そのような安くて良い商品を製造・販売している事業者の売上が増大し、利益を得ることができるという意味で、
事業者の利益にもつながる。
(参考 西川康一編著『景品表示法(第6版)』商事法務。以下同じ。3頁)
■参考問題(不当な表示)
【問題】景品表示法に基づく、いわゆるステルスマーケティング告示に関し、
一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容に、ある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考え、
商品選択の上でそのことを考慮に入れる一方、実際には事業者の表示であるにもかかわらず、
第三者の表示であると誤認する場合、その表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考えないことになり、
この点に関し、一般消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択が阻害されるおそれがある。
●ワンポイント解説
【正解】適切
【解説】この問題は、運用基準の文言をそのまま引いているもの。
「一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容に、ある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考え、
商品選択の上でそのことを考慮に入れる。
一方、実際には事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると誤認する場合、
その表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることがあり得るとは考えないことになる。
この点で、一般消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択が阻害されるおそれがある。」
■参考問題(過大な景品類提供)
【問題】宝くじの賞金やパチンコの景品は、その名称が「賞金」や「景品」というように景品表示法の景品類と類似しており、
かつ、宝くじの販売促進やパチンコの客を誘引するものであるから、景品表示法上の規制対象となる景品類に含まれる。
●ワンポイント解説
【正解】不適切
【解説】不適切
景品は、取引本来の内容とは別に提供されるものである(「取引に付随して」(取引付随性))。したがって、例えば、宝くじの賞金やパチンコの景品は、「賞金」、「景品」といった名称で呼ばれていても、それらの「賞金」、「景品」を獲得することは「宝くじを買う」、「パチンコをする」という取引の本来の内容であるため、取引付随性がなく、景品類には該当しない。
(参考 『景品表示法(第6版)』209頁)
■参考問題(管理上の措置についての指針)
【問題】景品表示法において「著しく優良であると示す表示」か否かの判断に当たっては、
表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準となることを踏まえると、
アフィリエイトサイトにおいて一般消費者がアフィリエイトプログラムを利用した事業者の広告であることを
理解できるようにするための表示を行う場合も、
表示内容全体から、一般消費者がそのように理解できる表示となっているかについて留意する必要がある。
●ワンポイント解説
【正解】適切
【解説】景品表示法の優良誤認表示に当たるかどうかの判断では、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準となる。
したがって、アフィリエイトプログラムを利用した広告を行う事業者の表示であることの明示についても、
表示内容全体から、一般消費者がそのように理解できる表示となっているかについて留意することが望ましい対応である。
(参考 管理措置指針(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針)別紙8(1)オ)
■参考問題公正競争規約
【問題】公正競争規約について、例えば、自動車に関する公正競争規約では、
「首位」、「第1位」、「トップ」、「最高」、「最長」その他の最上級を意味する用語を表示する場合は、
その裏付けとなる客観的数値等又は根拠を付記するべきことが規定されている。
●ワンポイント解説
【正解】適切
【解説】自動車業における表示に関する公正競争規約では、特定表示基準として、
「「首位」、「第1位」、「トップ」、「最高」、「最長」、「BIGGEST」その他の最上級を意味する用語を表示する場合は、
その裏付けとなる客観的数値等又は根拠を付記すること」と規定されている。
(参考 『景品表示法』(第6版)275~276頁)
■参考問題(不当表示等に対する措置と手続)
【問題】消費者庁長官は、景品表示法に基づき、表示についての合理的な根拠を示す資料の提出を求める権限を有しているが、
この権限は、消費者庁長官のほか、公正取引委員会や事業所管大臣等も行使することができる。
●ワンポイント解説
【正解】不適切
【解説】消費者庁長官は、景品表示法による権限を公正取引委員会や事業所管大臣等に委任することができるが、表示についての合理的な根拠を示す資料の提出を求める権限(景品表示法7条2項)は委任していない。このため、消費者庁長官と都道府県知事はこの権限を行使することができるが、公正取引委員会や事業所管大臣等が行使することはできない。
(参考 『景品表示法(第6版)』298頁、300頁)
受験対策
出題範囲は、景品表示法全般です。
消費者庁ウェブサイトに掲載された景品表示法に関する各種の公表資料や景品表示法の概要等を解説した参考書に習熟するとともに、
一般社団法人全国公正取引協議会連合会が実施する景品表示法に関するセミナー、研修会等も活用しつつ、学習を進めることにより、
景品表示法務検定の合格に必要な知識・能力を身につけられると考えられます。
⇒
消費者庁ウェブサイト
景品表示法・公正競争規約
景品表示法、施行令、規則、告示、運用基準等は、当連合会の次のページにリンクをまとめていますのでご参照ください。
⇒
景品表示法とは
⇒
景品表示法関係法令集
※ 令和5年10月に所謂ステルスマーケティング告示が施行されました。当該告示に関する問題も追加されています。
受験される方は、
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準を熟読されることをお勧めいたします。
また、令和5年改正法(課徴金制度の改正、確約手続等)については、連合会の
「景品表示法関係法令集 Web版」
から消費者庁の法令・運用基準等へのリンクを貼っていますので、そちらをご活用ください。
これまで受験された方から、公正競争規約を覚えるのが難しいということもお聞きしています。
公正競争規約の概要については、当連合会の次のページが参考にしていただけます。
⇒
公正競争規約とは
⇒
公正取引協議会・公正競争規約一覧
上記のページの中で、全ての公正競争規約が閲覧できますのでそれを順にご覧いただくのが良いかと思います。
規約の数はたくさんありますが、構成はどれもほぼ同じですから、それほど苦にならず読破可能かと思われます。
景品表示法セミナー
令和6年度の景品表示法セミナーでは、景品表示法務検定の概要と数問ですが参考問題の解説を予定しております。
また、景品表示法と近年の執行状況について、現役の消費者庁の表示対策課長又は担当官による講演がございます。
参考書・過去問
過去問などをまとめた問題集は販売しておりません。
適否を問う2択問題(上記参考問題)を意識して、
市販の参考書を読むことをお勧めいたします。
(参考書の例)
a 「景品表示法」(商事法務)
b 「景品表示法の法律相談」(青林書院)
c 「広告宣伝・景品表示に関する法律と実務」(日本加除出版)
d 「令和5年改正景品表示法」(商事法務)
e この他、学習するに当たっては「
景品表示法関係法令集」(一般社団法人全国公正取引協議会連合会刊)を適宜参照されることをお勧めします。
同法令集には景品表示法、同施行令等の法令のほか、消費者庁等が発出しているガイドラインなどを収録しています(※最新刊は令和4年版であり、所謂ステルスマーケティング告示及び令和5年改正は未収録)。